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正直に書く。
看護師を目指した理由は、離婚のためだった。
夫と別れても、子どもたちを養えるように。
ひとりで生きていけるように。
誰にも頼らなくていいように。
それだけを考えていた。
看護師を目指した理由
あのころ、毎晩寝る前にシミュレーションしていた。
離婚したら、どこに住む?
子どもたちの学費はどうする?
私の収入は、いくらになる?
計算すればするほど、不安が積み重なった。
パートの収入じゃ足りない。
正社員になれたとしても、子どもの病気で休んだら?
手に職がなければ、詰む。
そう気づいたとき、看護師という選択肢が浮かんだ。
30代後半から、3年間看護学校に通った。
フルタイムで働きながら、子どもを育てながら。
教育訓練給付金と職業訓練支援金のおかげで、お金はなんとかなった。
お金まわりの話は、別の記事に書いている。
▶ 看護学校3年間、お金は実質ゼロだった話——使った制度を全部公開
でも今日は、お金の話でも勉強の話でもなくて。
「なぜ私は、離婚しなかったのか」を書く。
夫が脳出血で倒れた
看護学校の在学中に、夫が脳出血で倒れた。
開頭手術をした。実習を休んで、病院に駆けつけた。
仕事、子ども、学校、そして手術台に乗った夫。
頭が真っ白で、何も考えられなかった。
でも気づいたら、私は毎日病院に通っていた。
離婚を考えていた相手なのに。
「この人がいなくなるかもしれない」と感じたとき。
不思議と、離婚という言葉が頭から消えていた。
合格通知が届いた日
看護師の合格通知が届いた日のことは、今でも覚えている。
手が震えた。泣いた。
うれしいとか、達成感とか、そういう感情より先に。
「もう、ひとりでも大丈夫だ」という感覚が来た。
これだ、と思った。
私がずっと求めていたのは、これだったんだ。
夫と別れることじゃなくて。
「別れても生きていける」という確信、そのものだった。
看護師1年目、夫の支えに気づく
免許を取って、病院で働き始めた。
看護師1年目は、正直しんどかった。
覚えることが多すぎて、毎日ボロボロで帰ってきた。
そんなある夜、帰宅したら夫がご飯を作っていた。
子どもはもうお風呂に入って、宿題を終えていた。
あ、と思った。
こんなに支えてもらっていたんだ。
学校に通っていた3年間も、働き出してからも。
文句を言いながらも、隣にいてくれていた。
なぜ、離婚しなかったのか
離婚を考えていたころ、夫のことを「敵」だと思っていた。
うまくいかないことの原因が、全部そこにある気がした。
会話が少ない。わかってもらえない。すれ違う。
でも、今は違う。
「ひとりでも生きていける」と確信できたとき。
初めて夫のことを、フラットに見られた気がした。
嫌いだから離婚したかったんじゃなかった。
怖かっただけだった。
この人がいなくなったとき、私はどうすればいいんだろう。
その怖さを、怒りで覆い隠していたんだと思う。
離婚しなかった理由を、うまく言語化できない。
「夫が変わった」わけじゃない。
「関係が劇的に改善した」わけでもない。
ただ、私が変わった。
「ひとりでも生きていける」と思えたとき。
誰かと一緒にいることを、「選べる」ようになった。
依存じゃなくて、選択。
その感覚が、何かを変えた。
看護師2年目の今
今も仕事は続けている。
子どもたちは少し大きくなった。
夫は相変わらず、文句を言いながら隣にいる。
離婚は、しなかった。
でも、看護師になったことは後悔していない。むしろ逆だ。
「もし離婚しても生きていける」という土台があるから。
毎日を、少し軽く生きられている気がする。
あのころ、不安で眠れなかった自分に伝えられるなら。
「大丈夫だよ」と言いたい。
怖くて当然だよ、と。
でも、動けば変わる。
手に職をつければ、選択肢が増える。
選択肢が増えれば、怖さが減る。
離婚するかしないかより、まず「一人でもやっていける」と思えるようになること。
それが私の、3年間だった。
同じ気持ちの人へ
もし今、同じような気持ちでいる人がいるなら。
看護師という選択肢を、一度だけ考えてみてほしい。
30代後半でも、子どもがいても、お金がなくても。
実際にそれで看護師になった人間が、ここにいる。
転職や資格取得を考えているなら、まずは情報を集めるところから。
相談だけでも、視界が広がることがある。
私がそうだったように。
離婚するために始めた道が、今の仕事につながっている。結果的に離婚しなかったけど、看護師になってよかった。あの決断が、今の私の土台だ。人生は予想通りにいかないことが多い。でも動いた結果は、動かなかった結果より必ずいい。そう信じている。
結果的に離婚しなかったのは、状況が変わったからだ。夫が変わったのか、私が変わったのか、正直よくわからない。でも確かなのは、看護師という仕事と収入を手に入れたことで、私の中の何かが落ち着いたということだ。自分で生きていける、という実感があると、不思議と物事がちがって見える。離婚するために始めた勉強が、離婚しない理由になった。人生はよくわからない。それでも、あのとき動いてよかったと思っている。
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