40代で看護師を辞めたいと思ったとき。私は2ヶ月で病棟を辞めた。

40代で看護師を辞めたいと思ったとき

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40代で看護師を辞めたいと思ったことが、私にはあります。というより、思っただけでなく、実際に辞めました。就職した病棟を、2ヶ月で。3年かけて資格を取ったのに、です。今日はそのときのことを、きれいごとなしで書きます。

40代で看護師を辞めたいと思ったのは、就職して1週間目だった

はっきり覚えています。就職して1週間目に、1時間以上の残業をした日でした。

急な対応が入って、帰れなくなりました。仕事なので仕方ありません。でも、そのとき私が思ったのは患者さんのことではなく、家で待っている子どものことでした。

残業が決まっても、子どもに連絡を入れられるわけではありません。仕事中ですから。つまり、何の連絡もないまま、いつもより遅く帰るということです。子どもは、いつ母親が帰ってくるのか分からないまま待つことになる。

それが、この先ずっと続く。そう思った瞬間に、無理だ、と思いました。1週間目でした。

勤務時間だけ見れば、残業は1時間です。たった1時間、と思う人もいるでしょう。でも、その1時間の意味は人によって違います。家で子どもが待っている人にとっては、ただの1時間ではありません。しかもそれは「今日は残業になる」と前もって分かるものではなく、その日の状況で決まります。何時に帰れるか分からない日が、毎日続く。それが病棟という場所でした。

一番つらかったのは、辞めると言い出すことだった

辞めると決めてから、一番つらかったのは仕事そのものではありません。辞めると言い出すことでした。

先輩たちは、優しく丁寧に教えてくれていました。40代で入ってきた新人の私に、時間をかけて、ひとつずつ。その人たちに「辞めます」と言うのは、申し訳なくて、本当に苦しかった。

そして、言ったあとも大変でした。なかなか退職を受け入れてもらえず、何度も話し合いをしました。「もう少し続けてみたら」「慣れれば変わる」。そう言ってもらえるのはありがたいことです。でも、そのたびに同じ説明を繰り返すのは、正直こたえました。

辞めるという行為は、書類を出せば終わり、ではないんです。ここは、辞めようとしている人に先に伝えておきたいところです。

私は続ける方法を考えなかった。でも、職場は考えようとしていた

辞めると決めてから、伝えるまでは早かったです。決めた時点で気持ちはもう動かなかったので、すぐに伝えました。
でも、そこからが長かった。

言ったあとに返ってきたのは「わかりました」ではなく、改善案でした。こうすれば続けられるのではないか、こういう形ならどうか。ひとつ断ると、また次の案が出てくる。辞める方向で話が進むまでに、何回も話し合いが必要でした。

いま振り返ると、理由がわかります。
私はもう、考え終わっていました。家庭を優先できないなら無理、という結論が出ていた。
職場は、これから考えようとしていました。どうすれば続けてもらえるかを探していた。
同じテーブルについているのに、話している段階が違うんです。だから、何度も繰り返しになる。

正直に書くと、私は「続ける方法」を自分では考えませんでした。部署を変えてもらう、勤務時間をもっと短くしてもらう——そういう選択肢を、検討しなかった。家庭が優先できないなら無理、と決まっていたからです。
ただ、これが正解だとは思っていません。試してみたら続けられた人もいると思います。考えてみる価値はあります。私は、考えませんでした。それだけです。

もしあなたが、私と同じで「もう決まっている」なら、ひとつ覚えておいてください。
辞めると伝えても、一度では終わりません。改善案が出てきます。それは意地悪ではなく、人手が足りないからです。何度か説明することになる、と最初から思っておくと、少し楽になります。

それでも、迷いはなかった

何度も話し合いをしましたが、気持ちが揺れたことは一度もありませんでした。

理由はひとつです。家庭を優先できないのであれば、無理。ここだけは、どうしても譲れませんでした。

私は、子どもを育てるために働いています。その働き方が、子どもを後回しにさせるのなら、順番が逆です。せっかく取った資格が、と言われることもありました。でも、資格は逃げません。逃げるのは、子どもと過ごせるはずだった時間のほうです。

よく「もったいない」と言われました。3年も学校に通って、国家試験まで受けて、働き始めて2ヶ月。数字だけ見れば、確かにもったいないのかもしれません。でも、私にとって本当にもったいないのは、子どもが子どもでいる時間のほうでした。この時期は、あとから取り戻せません。

憧れて看護師になったわけじゃない

もうひとつ、迷わなかった理由があります。私は看護師に憧れて資格を取ったわけではない、ということです。

私が看護学校に入ったのは、一人ででも子どもを育てていける力が欲しかったからです。自立するためでした。白衣に憧れたわけでも、命を救いたいと燃えていたわけでもありません。

だから、病棟を辞めることに未練がありませんでした。目的は「看護師として働き続けること」ではなく、「自分の力で生活できること」だったからです。資格は手元に残っています。目的は果たされている。それなら、働く場所は選び直せばいい。

この考え方が薄情に聞こえる人もいるかもしれません。でも、看護師を続けるために家庭が壊れるくらいなら、私は迷わず家庭を取ります。

辞めてよかったと、今も思っている

辞めてよかったと思えたのは、いつからか。
辞めた直後からです。そして今も、ずっとそう思っています。
後悔した日は一日もありません。「あのまま続けていたら」と考えることもありません。

ただ、ひとつだけ書いておきたいことがあります。看護師という仕事が嫌になったわけではありません。

いま思っているのは、こういうことです。
子どもが社会人になって、完全に手が離れたら、そのときは病棟で看護師として働くのもいい。

免許は残ります。年齢を重ねても、なくなりません。だから私は、辞めたというより、順番を変えただけだと思っています。
家庭を優先する時期には、家庭を優先できる働き方を選ぶ。手が離れたら、そのときまた選び直す。
辞めることは、看護師をやめることとイコールではありませんでした。

40代で看護師を辞めたいと思っているあなたへ

40代で看護師を辞めたいと思うのは、根性がないからでも、覚悟が足りないからでもありません。守りたいものがはっきりしている、というだけのことです。

そして、辞めることは看護師をやめることと同じではありません。私は病棟を辞めましたが、資格は持ったままです。残業の少ない職場、夜勤のない職場、帰る時間が読める職場。40代でも転職先はあります。いったん現場を離れてから戻る人もいます。戻るのが怖いという気持ちも、当然のことです。

辞めたいと思っている自分を、責めなくていい。あなたが一番守りたいものは何か。そこだけ、はっきりさせておけば大丈夫です。私はそれをはっきりさせたから、2ヶ月で辞めることを選べました。そして、後悔していません。

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